114 自動車保険の補償内容を簡素化

更新日:2006/09/08

 大手損害保険各社は、一連の保険金不払い再発防止のため複雑化した補償内容の簡素化に取り組んでいるようです。

 1998年からの保険自由化により、各社、激しい商品開発競争のもと特約の追加という手法で補償内容をどんどん広げていきました。結果、自動車保険では100種類を超える特約が存在し、顧客のみならず保険金支払い担当者までもが混乱し、多くの保険金不払いが起きてしまいました。


 各社はこれらを踏まえ、自動車保険の補償内容を見直し、支払い漏れの原因となった特約、あまり売れていない特約を中心に、特約の削減をしています。三井住友海上火災社では自動車保険の3割近くの特約廃止をすでに決めたようです。他社も同様の対応を取っており自動車保険だけでなく、全ての商品を対象に契約者にわかりやすい、説明責任を果せる商品内容の見直しを図るようです。

 確かに、最近の保険は、毎月新たな特約が発売され、社員や代理店なども訳がわからなくなっている状況でしたが、多様化した顧客ニーズに応えるという点では確かな役割を果している各種特約を、不払い防止という後ろ向き目的のため、あるいは、わかり易い保険商品という名目で、業界全体として護送船団のごとく、各社同じような動きをされてはたまりません。

 保険自由化により、それまで競争がなかった業界に、商品開発競争が始まり、コスト削減・リストラ、金融庁からの徹底したコンプライアンスのプレッシャーを受けるにいたりました。各保険会社の動きを見ていると「他の会社も簡素化するのなら」と、過去の護送船団方式を見ているような感じで、競争の後退と感じてしまいます。

 本来、不払いを防ぐ為には社員教育の見直しとシステム開発で対応するべきことではないでしょうか。わかり易い商品・説明責任も安易に補償内容を簡素化することで解決を図るのではなく、デジタル家電などでも多機能・高性能機種と簡単操作モデルが両立しているように、顧客ニーズに応えるには保険も、基本補償タイプ、完全補償タイプ、フリー設計タイプ等の商品をそろえる方が本来進むべき道のはずです。保険自由化により、その方向に進んでいた保険業界が一時的に後退しようとしているが、直ぐに方向が正されることを期待しています。